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エッセイ:映画「星守る犬」を観て


                
 この映画は村上たかし原作のベストセラーコミックを映画化されたもの。
北海道の小さな町、死後半年を経過した男性(西田敏行)と死後ひと月の犬の死体が発見され、映画はここからスタートします。
中年男性の孤独死と片付けられる事件を現場に残された領収書やリサイクルショップの買い取り証を発見した市役所勤務の奥津青年(玉山鉄二)が身元不明の男性と犬がたどったと思われる道をたどる旅に出ます。
その途中で、北海道から上京し、夢破れた少女(川島海荷)が彼の旅の同行者となります。
「望みつづけるその先に、きっと希望があると思う。」とのキャッチコピーでドラマは展開しますが、最後には何もかも失い無一文の裸となって山の中で孤独死を迎えます。一人と一匹がたどった、悲しくも美しい物語との好評を得ていますが、あまりにも寂しい結末に私は立ち直れないほどの絶望を感じました。人は温かい家族がいて、その温もりの中で、艱難辛苦を乗り越えていけます。
子供の頃に両親の病死により祖父に育てられた奥津青年は自分の孤独な人生と比較し、この男性は愛犬ハッピーと過ごした切なくも幸せだったと、自分よりは決して寂しくはないはずと語る。ここは私も吾が生い立ちを思うと同感します。
一方、母親の再婚によって義父の暴力から逃れてきた少女は奥津青年との旅の中で様々な人間模様を見、二度と帰りたくない家で再び踏ん張ってみると強い決意を新たに青年に感謝して別れます。

落着した事件後、青年は男性の遺骨の一部を現場に埋葬した犬の墓に納めます。そして街に捨てられた犬を抱き上げ、男性のたどった犬との友情を思い出しながら、孤独の人生から脱却しようとする前向きな姿を映し出しながら、ドラマは明るく終わります。エンディングのミュージック(稲本響作曲)が心に優しく響きます。
要所要所に配置された豪華キャスト(余貴美子、温水洋一、濱田マリ、塩見三省、中村獅童、岸本加世子、藤竜也三浦友和)は観客に安心感を与えます。
犬の演技は難しい。わがままに振舞っていた旅の初めと比べると、男性との間に深まっていく愛の絆の変化が感じられます。
ふたりが最後にたどり着くひまわり畑は監督(瀧本智行)が全国を探してやっとみつけたとのこと。そして『星守る犬』は、「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」という意味がドラマの中で語られています。

それにしても、社会の底辺に生きる人々の人生はあまりにも荒んでいる。
そこにフォーカスした作品だから仕方がないが、もう少し心豊かに生きられる方法はないものかと救われない気持ちにもなります。

この映画は全国317スクリーンで公開され、2011年6月11、12日の初日2日間で興収1億4,408万2,600円、動員11万9,297人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第6位となったそうです。

ストーリーの展開が漫画の視点を抜けていないような感があるのは、わたしだけでしょうか。

                                           ゆう



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