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エッセイ:絆を深めた一品 

                    
「霞を食べて暮らしている?」
私を心配する友人が持ちきれないほどの食品を抱えてやってきた。
お蔭で豪華な昼食がテーブルを賑わした。

パイナップルとグレープフルーツのパイ
フランスチーズとプロセスチーズ
ドレッシングをかけた野菜サラダ
ストローで飲む豆乳スープ
筑前煮、南瓜、さといも、シイタケの煮物
ブルーベリーパン

挽いたコーヒー

ワイングラスにブルーベリーワインを注ぐと、友人は人生に乾杯という。
納豆と味噌汁と梅干と発芽玄米ごはんを常食する私には最後の晩餐のような食事である。
視覚障害者である友人は、この食品をデパートの店員に「美味しいものを」と注文し選ばせたと言う。

当然のことながら食べきれるはずはない。
ワインを早めに飲みきるように、と言い残して友人は去った。

 夕食、残ったワインを少量グラスに注ぎ、口にすると昼の味とまるで違うことに気付く。友人との会食という時の脳はいかにリラックスしていたことか、一人と二人では脳内快楽物質の分泌量がこんなにも異なるのか実証の味だった。
毎晩チビチビと一人晩酌を思うと楽しさよりも義務感を感じる。胃腸にも好くない。そこでこれを楽飲してくれる人に差し上げようと、階下の隣人を選びチーズを添えて持参した。喜んだ夫婦から返礼のケーキを頂戴した。
部屋に戻ると階上の隣人から茹でたトウモロコシが届いた。ラッキーチャンス、私はチーズと階下から頂戴したケーキを添えて返礼した。
「海老で鯛」と言って喜んでくれたが私にとってはトウモロコシの方が鯛だった。
不思議なことに向かいの住人から畑で収穫したばかりの小玉スイカ半分とミニトマトが届いた。私はパイとチーズで返礼した。

今夜、遠隔の友人、階上・階下・向かいの隣人そして私、差し入れ一品が絆を紡ぎ、心のテーブルを囲んだ夏の夜のひとときであった。
断続の大降りは途絶えたが、盆踊りは団地群の灯の影に消えていた。

                                     ゆう

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